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第四十二話 消えない言葉

Author: 白蛇
last update publish date: 2026-08-24 17:02:32

 ホテルから戻ると、理玖りくのマンションは痛いほど静かだった。

 さっきまで耳の奥に残っていた笑い声も、グラスの音も、ここにはない。

 洗面所に向かい、メイクを落としてようやく息を吐けた気がする。

 シャワーを浴びて、パジャマに着替える。

 リビングに戻ると、ローテーブルには湯気の立つカップが置かれていた。

「ありがとう」

 凜はそっとカップを手に取った。

 湯気の向こうで、理玖の表情がぼやけて見えた。

「凜りん、体調は大丈夫か」

「う、うん。大丈夫」

 それきり会話は途絶えた。

『執着の深い方』

 紗夜の言葉が蘇る。

――あの時は咄嗟とっさに否定したけど……。

 その考えが浮かび上がりかけて、理玖に気付かれないよう小さく首を振った。

「そろそろ寝ろ。疲れただろ」

「……うん」

 理玖の言葉に、力なく頷く。

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